草野原々公式ブログ

SF作家 草野原々のブログ

哲学

【論文まとめ】「このもの主義/Haecceitism」セクション1【スタンフォード哲学百科】

このもの主義 Haecceitism (Stanford Encyclopedia of Philosophy) この世界の形、色、質量、大きさなどすべての質が同一であったとして、たったひとつだけ現実と違う世界がある。あなたがいないのだ。あなたの代わりに、あなたとまったく同じ質的性質を持つ…

【論文まとめ】法則の様相的地位:ハイブリット見解の擁護 セクション4~6/The Modal Status of Laws: In Defence of a Hybirid View【Tuomas E. Tahko(2015)】

セクション4では、形而上学的に偶然だが法則的に必然である法則の例として、微細構造定数αとそれに基づくクーロンの法則が挙げられます。 セクション5では、ある法則は形而上学的に偶然だが、別の法則は形而上学的に必然であると論じられます。形而上学的…

【論文まとめ】法則の様相的地位:ハイブリット見解の擁護 セクション2~3/The Modal Status of Laws: In Defence of a Hybirid View【Tuomas E. Tahko(2015)】

物理法則の力はなにを根拠にしているのでしょうか? セクション2では、本質主義者の「因果力を与える本性」が物理法則の根拠になっているということを説明し、それは強すぎる主張だとします。 セクション3では、根源的自然種の例化というアイディアを検討…

【論文まとめ】法則の様相的地位:ハイブリット見解の擁護 セクション1/The Modal Status of Laws: In Defence of a Hybirid View【Tuomas E. Tahko(2015】

法則は偶然的なのでしょうか、それとも必然的なのでしょうか? この論文の著者は、ある法則は必然的であり、別の法則は偶然的だとしています。 このエントリでは、セクション1の先行研究の紹介と、著者の主張のみです。セクション2からはのちに新しいエン…

【論文まとめ】IITはラッセル的汎心論と両立するか?/“Is IIT compatible with Russellian panpsychism?"【 Hedda Hassel Mørch(2016)】

mindsonline.philosophyofbrains.com アブストラクト ○汎心論とは? ○ラッセル的汎心論 ○物理主義と二元論の困難とラッセル的汎心論の有利な点 ○構成的汎心論と創発的汎心論、およびその問題点 ○IIT ○IITと組み合わせ問題 ○現象的結束の立場 ○融合の立…

【論文まとめ】「汎心論と汎原心論/Panpsychism and Panprotopsychism」【David J. Chalmers(2016)】

心の哲学の代表的論者、デイヴィッド・チャーマーズの論文です。汎心論と汎原心論、ラッセル的一元論、汎質論についての議論がまとめられています。 www.oxfordscholarship.com チャーマーズは『意識する心』と『意識の諸相』が翻訳されています。 www.amazo…

【論文まとめ】「ファイにおける問題:情報統合理論批判 / The Problem with Phi : A Critique of Integrated Information Theory」【Michael A. Cerullo(2015)】

The Problem with Phi: A Critique of Integrated Information Theory 論文の背景 ジュリオ・トノーニは意識の量を測るための「情報統合理論(IIT)」を提唱した。 それは、「意識とは統合情報である」という理論だ。統合情報とは、「システムの要素が生成す…

【論文要旨】宇宙は数学ではない/『「数学的宇宙」へのいくつかのコメント』

Jannes, Jil(2009) "Some comments on "The Mathematical Universe"" link.springer.com 一行で言えば? 宇宙は数学だ!という説があるけど違うよ。 どんな背景なの? この論文は『数学的宇宙』という考え方を批判したものだ。数学的宇宙とはこの世の根源は…

【論文要旨】モデルはフィクションから輸出される/『モデル-世界比較の本質』

Fiora Salis(2016) "The Nature of Model-World Comparisons" The Nature of Model-World Comparisons | The Monist どんな背景なの? 科学哲学においての問題に、モデルを使ってどのように現実世界の知識を得るのか? というものがある。力学方程式に従う理…

論文日記(2):『リンゴが赤い』ってどういうこと?/普遍者とトロープ

Stanford Encyclopedia of Philosophyの"Properties"1-1節より Properties (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 二つの赤いリンゴaとbがあったとしよう。これは何を意味しているのか? 普遍者説によれば、これは次のことを意味している。①aは赤い、bは赤…

論文日記(1)AIによる人類の意思集結は失敗する!?『理想的アドバイザー説とパーソナルCEV』

今日から読んだ論文を日記にしてまとめることにしました。一週間で二回更新が目安。 原文はここ

【論文まとめ】一貫性のある外挿法的意志作用/Coherent Extrapolated Volition【Elizer Yudkowsky(2004)】

フレンドリーAIのアイディアで知られるYudkowskyのエッセイです。 ここで原文は読めます。 1、Intoroduction フレンドリーAI(FAI)とはフレンドリーな超強力実行化プロセスである。 フレンドリーAIに必要なものとは。 ①道徳などの不変性が自己改良において…

【メモ】分析哲学メモ

●言語論的転換:言語の機構の解明により他の機構を説明しようという方針の転換 ●人工言語派:日常言語では哲学の諸問題は解決できないので論理学に基づいた言語を作ろう ●日常言語派:日常言語を丁寧に分析していけば哲学的問題に答えられる ●意味のイメージ…

【メモ】心の哲学メモ

心の哲学 ●二元論における二つの問題 ○心物因果の問題:非物理的原因が物理的原因を動かすのは念力のようなもの ○過剰決定の問題:心的状態と物理的状態という二つの原因が身体行動を決定していることとなってしまう。しかし、どちらか単独で十分な原因のは…

【論文まとめ】「現象判断のパラドクスと因果性 / The Paradox of Phenomenal Judgment and Causality」【Chris Naegle】

チャルマーズの『哲学的ゾンビ』論法(様相論法)により生み出された性質二元論への批判論文です。 原文はここで読めます。 現象判断のパラドックスと因果性 要約:様相論法により導き出された性質二元論では、意識には物理領域への因果的インパクトがなく、…

【メモ】科学哲学メモ

科学哲学まとめ 演繹・帰納関連 ●仮説演繹法 手持ちのデータから帰納して仮説をつくる→仮説から演繹して予言する→実験により仮説を確証/反証する ●論理実証主義 直接に真偽を確かめられるのは観察文のみ、理論文は検証できないが、観察文に翻訳することがで…

【メモ】メタ倫理学メモ

●定義的自然主義: 何らかの事実により「善い」ということが定義できる。(スペンサー:善いとは進化状態が発展したことである。ミル:善いとは功利の増大である) ●ヒュームの法則 「である」から「べきである」は導き出せない。 ●サールの反論言語について…

【インターネット哲学百科事典】「認識論における内在主義と外在主義 / Internalism and Externalism in Epistemology」

インターネット哲学百科の項目『認識論における内在主義と外在主義』をまとめました。 原文はここで読めます。

【インターネット哲学百科事典】「水槽の中の脳論証 / Brain in a Vat Argument」

今回はインターネット哲学百科事典という無料の査読つきオンライン百科の記事をまとめてみました。 記事はここで読めます。

【論文まとめ】「機能主義とは何か?/What is Functionalism?」【Ned Block】

Ned Block の"What is Functionalism" をまとめました。 主に、批判的観点からの機能主義のまとめとなっています。 論文は以下で読めます。 Ned Block, What is functionalism? - PhilPapers

"DOOMSDAY, BISHOP AND SIMULATION WORLD"まとめ(最終)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ最終回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ(4)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ第四回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

【論文まとめ】Richard Scheines "Causation"

Richard Scheinesの論文 Causation をまとめました。 ここ数十年の因果論の歴史を見ることができます。 論文は ここでよめます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ(3)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ第三回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS" まとめ(2)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ第二回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS" まとめ(1)

この記事では、Alasdair M. Richmondの論文"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"のまとめを行う。 この論文は、レスリーの『終末論法』に対して、三つの課題があることを示す。 一つ目は標準的な終末論法に対しての批判である、Timothy Chambers…

【論文要旨】シミュレーション論法とSelf-Indication Assumption

ここではPaul FranceschiのThe Simulation Argument and the Self-Indication Assumptionをまとめます。 ニック・ボストロムのシミュレーション論法に、『あなたが存在しているという事実から、観察者が少ない仮説よりも多い仮説を選ぶべきだ』とするSelf-In…

メモ 知識の内在主義と外在主義

(注:さりげなくまどマギネタバレしてます) ある信念を『知識』とするためには以下の三条件が必要だ。 ①その信念が真であることに本人が確信していること ②その信念が実際に真であること ③その信念が真だというと本人が確信するのは当然であるということ(…

論文要旨 フレーゲ「意義と意味について」③

フレーゲ著作集〈4〉哲学論集 作者: G.フレーゲ,黒田亘,野本和幸,Gottlob Frege 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 1999/09 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (7件) を見る

メモ イデア論と第三人間論証

ソクラテスはギリシャ中の人々に「~とは何か」ということを聞いて回った。(例:正義とは何か? 徳とは何か?) その答えとして人々は正義の例、徳の例を出して答えたが、それは定義はなにかという問題に答えたことにはならない。 ソクラテスの問いにプラト…