水槽脳の栓を抜け

SF作家 草野原々のブログ

【けものフレンズ考察】「埋設されたもの」とは何か?:全22種類の説を考えてみた

アニメ「けものフレンズ」七話でのクリフハンガーとでもいえる「フレンズやわたしたちにとってとても大切なものが埋設されている」という発言。今後の展開で、おそらくこの「大切なもの」が大きく関わってきそうだ。それを予想してみよう! というのがこの記…

【論文要旨】宇宙は数学ではない/『「数学的宇宙」へのいくつかのコメント』

Jannes, Jil(2009) "Some comments on "The Mathematical Universe"" link.springer.com 一行で言えば? 宇宙は数学だ!という説があるけど違うよ。 どんな背景なの? この論文は『数学的宇宙』という考え方を批判したものだ。数学的宇宙とはこの世の根源は…

イカは宇宙を飛び、シンギュラリティを起こす/『Manifold:Time』感想

今回紹介する本は、未訳のSF長編である。誰にも訳されていないのだ。 Manifold: Time 作者: Stephen Baxter 出版社/メーカー: Del Rey 発売日: 2003/12/16 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る むろん、英語がずらりと並んでいる。英語のみの小…

【論文要旨】モデルはフィクションから輸出される/『モデル-世界比較の本質』

Fiora Salis(2016) "The Nature of Model-World Comparisons" The Nature of Model-World Comparisons | The Monist どんな背景なの? 科学哲学においての問題に、モデルを使ってどのように現実世界の知識を得るのか? というものがある。力学方程式に従う理…

論文日記(2):『リンゴが赤い』ってどういうこと?/普遍者とトロープ

Stanford Encyclopedia of Philosophyの"Properties"1-1節より Properties (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 二つの赤いリンゴaとbがあったとしよう。これは何を意味しているのか? 普遍者説によれば、これは次のことを意味している。①aは赤い、bは赤…

論文日記(1)AIによる人類の意思集結は失敗する!?『理想的アドバイザー説とパーソナルCEV』

今日から読んだ論文を日記にしてまとめることにしました。一週間で二回更新が目安。 原文はここ

『ラブライブ!サンシャイン!!』はセカイ系である

コンテンツの維持において、舞台設定を変化させねばならない。変化させ、新たな舞台設定が生まれるという事件のみで、消費者の注意が引かれる。長期間に及ぶ変化なしのコンテンツ展開はマンネリ化と飽きを呼び、一部のマニアのみを残して飽きられ、新規参入…

【論文まとめ】一貫性のある外挿法的意志作用/Coherent Extrapolated Volition【Elizer Yudkowsky(2004)】

フレンドリーAIのアイディアで知られるYudkowskyのエッセイです。 ここで原文は読めます。 1、Intoroduction フレンドリーAI(FAI)とはフレンドリーな超強力実行化プロセスである。 フレンドリーAIに必要なものとは。 ①道徳などの不変性が自己改良において…

【まとめ】最近読んだAI倫理関連の論文を三文以内でまとめる①

Luke Muehlhauser, Loutie Helm. 2012. "Intelligence Explosion and Machine Ethics" 倫理理論に対して、『超AIがその理論にしたがったら世界がどうなるか』という観点からテストできる。人間の認知の特性を調べたところ、AI倫理としては、理想的な情報下で…

劇場版ラブライブ!の『謎の女性シンガー』は誰なのか?――SF的考察

本稿は映画『ラブライブ! the school idol movie』に出てくる『謎の女性シンガー』の正体をSF的に考察したものである。当然のことながらネタバレ注意だ。

【メモ】『コングレス未来学会議』アリ・フォルマン監督×山村浩二さん対談

TOHOシネマ日本橋で行われている東京アニメアワード2015 そこで先行上映された「コングレス未来学会議」に行って来ました。 上映終了後、監督のアリ・フォルマンさんとアニメーション作家の山村浩二さんの対談がありましたので、そのときの様子をメモしたも…

【まとめ】アイマス・ラブライブ以降の二次元アイドルコンテンツまとめ

現在は多数の二次元アイドルコンテンツが作られています。 その双璧をなす存在として、『アイドルマスター』と『ラブライブ!』が挙げられます。 また、女児アニメの『アイカツ!』と『プリパラ』、新作映画化も決まり勢いに乗っている『WakeUp, Girls!』な…

【メモ】分析哲学メモ

●言語論的転換:言語の機構の解明により他の機構を説明しようという方針の転換 ●人工言語派:日常言語では哲学の諸問題は解決できないので論理学に基づいた言語を作ろう ●日常言語派:日常言語を丁寧に分析していけば哲学的問題に答えられる ●意味のイメージ…

【メモ】心の哲学メモ

心の哲学 ●二元論における二つの問題 ○心物因果の問題:非物理的原因が物理的原因を動かすのは念力のようなもの ○過剰決定の問題:心的状態と物理的状態という二つの原因が身体行動を決定していることとなってしまう。しかし、どちらか単独で十分な原因のは…

【論文まとめ】「現象判断のパラドクスと因果性 / The Paradox of Phenomenal Judgment and Causality」【Chris Naegle】

チャルマーズの『哲学的ゾンビ』論法(様相論法)により生み出された性質二元論への批判論文です。 原文はここで読めます。 現象判断のパラドックスと因果性 要約:様相論法により導き出された性質二元論では、意識には物理領域への因果的インパクトがなく、…

【メモ】科学哲学メモ

科学哲学まとめ 演繹・帰納関連 ●仮説演繹法 手持ちのデータから帰納して仮説をつくる→仮説から演繹して予言する→実験により仮説を確証/反証する ●論理実証主義 直接に真偽を確かめられるのは観察文のみ、理論文は検証できないが、観察文に翻訳することがで…

【メモ】メタ倫理学メモ

●定義的自然主義: 何らかの事実により「善い」ということが定義できる。(スペンサー:善いとは進化状態が発展したことである。ミル:善いとは功利の増大である) ●ヒュームの法則 「である」から「べきである」は導き出せない。 ●サールの反論言語について…

【インターネット哲学百科事典】「認識論における内在主義と外在主義 / Internalism and Externalism in Epistemology」

インターネット哲学百科の項目『認識論における内在主義と外在主義』をまとめました。 原文はここで読めます。

【インターネット哲学百科事典】「水槽の中の脳論証 / Brain in a Vat Argument」

今回はインターネット哲学百科事典という無料の査読つきオンライン百科の記事をまとめてみました。 記事はここで読めます。

【アニメ感想】2014年冬・ポストまどマギアニメ三作品

2014年冬に放映されたオリジナルアニメ三作品は『魔法少女まどかマギカ』からの影響を大きく感じさせるものであった。この記事では、それら三作品の相違点を検討しよう。 ※『結城友奈は勇者である』『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』『Selector infected WI…

【論文まとめ】「機能主義とは何か?/What is Functionalism?」【Ned Block】

Ned Block の"What is Functionalism" をまとめました。 主に、批判的観点からの機能主義のまとめとなっています。 論文は以下で読めます。 Ned Block, What is functionalism? - PhilPapers

"DOOMSDAY, BISHOP AND SIMULATION WORLD"まとめ(最終)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ最終回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ(4)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ第四回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

【論文まとめ】Richard Scheines "Causation"

Richard Scheinesの論文 Causation をまとめました。 ここ数十年の因果論の歴史を見ることができます。 論文は ここでよめます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ(3)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ第三回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS" まとめ(2)

Alasdair M. Richmondの"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"まとめ第二回です。 論文は https://www.era.lib.ed.ac.uk/handle/1842/2111 で読めます。

"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS" まとめ(1)

この記事では、Alasdair M. Richmondの論文"DOOMSDAY, BISHOP USSER AND SIMULATION WORLDS"のまとめを行う。 この論文は、レスリーの『終末論法』に対して、三つの課題があることを示す。 一つ目は標準的な終末論法に対しての批判である、Timothy Chambers…

すごい速算(引き算編)

算数・数学は面倒だ。 なにが面倒か? それは計算である。 複雑な筆算になると、ひとつクリアするのに十分もかかることはざらにある。 しかも、それは多くの場合間違っている。 計算の第一の壁は小学校の頃出現する『繰り下がりのある引き算筆算』である。 …

【論文要旨】シミュレーション論法とSelf-Indication Assumption

ここではPaul FranceschiのThe Simulation Argument and the Self-Indication Assumptionをまとめます。 ニック・ボストロムのシミュレーション論法に、『あなたが存在しているという事実から、観察者が少ない仮説よりも多い仮説を選ぶべきだ』とするSelf-In…

【まどかマギカ】映画『叛逆の物語』見終わってからひらめいた三つの説

映画『魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』の視聴三回を記念して、映画内では謎のまま残った事象に関する三つの説を書きました。ネタバレです。