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水槽脳の栓を抜け

SF・アニメ・哲学

【まどかマギカ】宇宙黒幕仮説

アニメ まどかマギカ 映画

映画まどマギにおいて、最後のまどかとほむらの会話には違和感があった。

「秩序は大切だと思う? 欲望のまま破ってはならない?」と聞くほむらに対してまどかは秩序は大切だと答える。そして、ほむらはもしかしたらあなたはわたしの敵になるかもしれないと言い、去っていく。

一見、この会話は何の問題も内容に見える。悪魔となったほむらは宇宙の秩序を乱す側であるからだ。だが、重要なのは、宇宙の改変自体はまどかもやっていたということだ。まどかもほむらも宇宙改変をやっているのであるから。ほむらの『秩序を破る』ということは宇宙改変そのものを指すはずはない。

宇宙改変そのものを問題としているのでなければ、まどかとほむらの宇宙改変の性質が違うということだろう。実際、それは終盤のほむらとさやかの会話からもうかがい知ることができる。

「まさか、宇宙を壊すつもり?」と問うさやかに対し、ほむらは「全ての魔獣を倒したらそれもいいかも」と言っている。

ここから推測できるのは、ほむらの宇宙改変は、宇宙自体にダメージを負わせるようなやり方で行われていたということだ。

では、まどかの宇宙改変はどうなのだろうか。私はここで、一つの仮説を導入することとする。それは、まどマギ世界の宇宙とは、それ自体が一つの生命体であり。まどかの宇宙改変は、宇宙そのものが自己のシステムをアップデートするためになされたものだということだ。

ここで、QB文明は宇宙のエントロピーを下げるために魔法少女システムを作り出したことを思い出そう。QBたちは魔法少女が魔女になるときのエネルギーを使い、宇宙のエントロピーを下げていた(実際の物理学における意味とはずれるので注意)。QBの魔法少女システムはまどかにより円環の理に更新された。円環の理は、魔法少女が魔女になる瞬間、その存在を回収する。では、そのとき発生したエネルギーはどこに行くのか? 私は、そのエネルギーを宇宙自体が享受しているのだと解釈する。まどか改変前は、QB文明を通して間接的に宇宙自体にエネルギーが送られたが、円環の理ができてからは、直接的に宇宙自体にエネルギーが送られるようになった。円環の理が誕生することにより、より効率的な宇宙エネルギー供給システムが誕生したのだ。

だが、これは、円環の理もまた自己犠牲を強要するシステムだということをあらわにする。魔法少女たちは、人間としての生を否定され、円環の理という宇宙管理システムへの融合を余儀なくされる。

その自己犠牲性を見抜いたのは、ほむらであった。彼女は愛の力により、叛逆を開始する。この『叛逆』とは、まどかに対してのみならず。宇宙そのものに対しての叛逆なのである。

この仮説の良いところは、映画『叛逆の物語』での違和感を感じるシーンを二つとも説明できるところだ。ほむらとさやかの会話は、ほむらが宇宙そのものに叛逆した(宇宙を壊すことも厭わない)ということを示し、まどかとほむらの会話においての『秩序』とは宇宙そのものを表す。

では、宇宙黒幕仮説が予想するまどマギ二期はどのようなものとなるのだろう。はじめは、宇宙の意志を保持しているQBがまどかに対して、宇宙を破壊する『悪魔』ほむらを倒すように頼み込み、まどかが魔法少女になりほむらと戦うというストーリーが繰り広げられるだろう。しかし、この宇宙そのものが自己犠牲を強要するシステムであるという事実が少しずつ明らかになり、それに気づいたまどかはついには円環の理を操作して宇宙自体を裏切り、魔法少女の存在しない宇宙を新しく作り出す(あるいは書き換える)。いわば、宇宙という逆デウス・エクス・マキナ的な存在を作り上げてきれいにまとめるのだ。これならまどか派もほむら派も満足であろう。