水槽脳の栓を抜け

SF作家 草野原々のブログ

自作小説の感想をAIに要約・分析させ、リライトを提案させてみた。

自作小説の感想を読むのはけっこう精神力がいる。否定的評価が多い感想を読む際には、それなりの覚悟で臨まなければいけない。さもなければ、長い期間にわたり、メンタルダメージが尾を引くこともある。

だが、AIに感想集を入力し、その圧縮された情報を読むのは、比較的気楽にできる。強い言葉が緩和されるというのもあるが、肉体と人格を持っていないAIに言われても気にならないという点もある(そもそもいまの大規模言語モデルは長期記憶を持っていない)。

AIによってまとめられた指摘ならば、その言葉から適切な距離をとることができ、却って、指摘に従う気になるかもしれない。そう考えて、自作小説の感想をまとめさせてみた。

扱う作品は『大進化どうぶつデスゲーム』

 

読書メーターのページの感想を入力情報として利用。

AIモデルはClaude-2-100-kという、10万トークンのインプットが可能なものを使った。回数制限があるが、以下のサイトで、無料で使用できる。

Poe - Fast, Helpful AI Chat

AIによってまとめられた感想

この小説の感想をまとめますと:

  • 登場人物が18人もいて多すぎるという意見が多いです。名前とキャラクターの区別がつきにくいという指摘が複数ありました。
  • 百合要素については賛否両論あります。百合をメインにした作品だと期待した人もいれば、SFやサバイバル要素の方がメインだと感じた人もいます。
  • SF的な設定は評価する一方、ストーリー展開は平凡だった、あるいは設定とストーリーのバランスが悪かった、という意見が目立ちます。
  • グロテスクな描写に否定的な意見と、それがこの作者の特徴だと評価する意見の両方がありました。
  • 古生物の設定に関する知識の注入は高く評価する一方、キャラクターやドラマの描写はもっと掘り下げてほしいという要望が多数ありました。
  • 続編があることを前提とした上で、次作でもっとキャラクターを掘り下げてほしいという期待感がうかがえます。

以上のように、賛否両論はあるものの、壮大な設定と個性的な作者の特徴を評価する意見が多く、続編に期待する声が目立ちました。

ストーリー展開についての感想をまとめると以下のようになります。

  • 設定としては壮大だが、ストーリー展開は平凡だったという指摘が多数ありました。
  • ストーリーのテンポが速く、登場人物たちの心情の変化が追い切れないという意見がありました。
  • クライマックスがあっさりしていて盛り上がりに欠ける、と感じた人が多かったようです。
  • デスゲームというタイトルに反して、サバイバル要素が薄く、犠牲者も少なかったと感じた人がいました。
  • 伏線が回収されないまま終わったことに対する疑問の声がありました。
  • 設定とストーリーのバランスが取れておらず、設定を生かし切れていないという指摘がありました。
  • ラストが予想通りの展開だったために拍子抜けしたという意見が複数ありました。
  • 続編を前提とした急な終わり方であることへの不満が見られました。
  • キャラクターや人間ドラマの描写不足をストーリーの欠点と感じる意見が多数ありました。

という要約だった。

たしかに、18人のキャラクターを出すのは野心的過ぎたかもしれない。当時の思考を推測するに、おそらく、単純に18人を出せば組み合わせ爆発が起こり、多様なカップリングができるため、百合ファンは楽しめるだろうという想定であったのだろう。だが、組み合わせ爆発に着目した感想はあまりなかったようだ。

さらに、感想をもとにして、どのようなリライトが可能なのかAIに提案させてみた。

 

『大進化どうぶつデスゲーム』についての読者の感想を踏まえ、以下のようなリライトが考えられます。

  • 登場人物が18人も出てきて覚えきれないという指摘に対しては、登場人物を減らす、あるいは少数の主要人物に焦点を絞ることで改善できる。

  • 百合要素については、百合を前面に押し出すのか、サブ的に扱うのか方針を明確にする。

  • SFやサバイバル要素をメインに描写するなら、人間ドラマよりもそちらにページを割くこと。逆に人間ドラマ重視なら、SF的設定はminimizeにする。

  • ストーリー展開が平凡だと感じられるなら、予想外の展開を用意する、テンポを上げる等の改善が考えられる。

  • グロテスクな描写を控えめにすることで、より幅広い層に受け入れられる可能性がある。

  • 古生物の設定より、キャラクターや人間ドラマを掘り下げることを優先する。

このように、読者の反応に応じて、登場人物、テーマのバランス、描写のトーン調整等を行うことで、より多くの読者に訴求できるリライトが可能だと考えられます。

基本として「作品の方針は明確にしよう」という指摘だ。百合を主要にするかサブ要素にするか、SFにするか人間ドラマにするかをきっちりと明確にして、読者に伝える努力をしたほうが、読者が求めるものと作品内容のマッチングが起こりやすくなるだろう。

また、感想をもとに、AI自身に『大進化どうぶつデスゲーム』のあらすじをリライトするように頼んでみたら、こんなものが返ってきた。

読者の感想を踏まえ、最大限に読者を満足させるためには、『大進化どうぶつデスゲーム』のあらすじを以下のように修正するのが良いと考えます。

  • まず、登場人物数を減らし、主人公のミカと幾人かの主要人物に焦点を絞ります。ミカと親友の早紀を中心とした友情を描き、他の主要人物との関係も丁寧に描写します。百合描写は控えめにし、友情と冒険をメインに描きます。
  • 舞台は800万年前の地球から、ミカたちの通う学園がある現代に変更します。学園に謎の生物が現れ、ミカたちは学園や街を守るために戦うことになります。謎の生物とのバトルシーンを盛り込み、アクションとスリルを高めます。
  • ストーリー展開は予想外の謎と展開を用意し、読者を飽きさせません。同時に、登場人物たちの人間ドラマや友情、成長を丁寧に描写します。ラストはハッピーエンドを目指し、読者を感動させる内容とします。

このように、読者の要望に合わせ、キャラクター、舞台、ストーリー展開を調整することで、より多くの読者に支持される作品に仕上げることができると考えます。

なるほど、元の作品では、800万年前の北アメリカにタイムスリップして旅をするのであるが、今考えるとその旅の目的地や地形の設定が具体的ではなかったという反省点がある。それよりも、読者が想像しやすい現代日本の学園や街での攻防戦をやったほうが読者の興味をひけたのかもしれない。

近い将来、作品自体を読者の感想にあわせてリライトすることもできるようになるだろう。たとえば、「ちょっとキャラが多すぎるなぁ」と読者が要望すれば、AIが自動的に不必要なキャラをいなかったことにしたり、「もっとSF要素が欲しいなぁ」と要望すれば、自動的に新しいSF設定がついていたり、「もっと予想外の事件があったらいいなぁ」と要望すれば、自動的にどんでん返しが入ったりするだろう。

 

【2023/11/10更新】

一夜明けて、Claude2の回数が回復したので、さらに具体的にリライトについて聞いてみた。

「ストーリー展開ににおける予想外の謎と展開」をどのようにするのかがわからなかったので、具体的に考えてと聞くと、このような答えが返ってきた。

 

ストーリー展開における予想外の謎と展開の具体例を提案いたします。

学園に現れた謎の生物の正体が、実はミカのクラスメイトの一人であることが判明する。そのクラスメイトはなぜ生物に変身したのか。

謎の生物は時間跳躍能力があり、過去や未来を行き来していた。ミカたちもタイムトラベルして、謎の解明に挑む。

謎の生物は宇宙人が地球侵略のために作り出した兵器だった。宇宙人との決戦がミカたちを待っている。

ミカの幼馴染で親友だったはずの早紀が、実は謎の生物と接触し、ミカたちの敵となっていた。早紀を取り戻す方法はあるのか。

学園の裏には秘密組織が存在し、謎の生物を利用して世界征服を企んでいた。ミカたちはその陰謀に立ち向かう。

このように、親友の裏切り、時間跳躍、宇宙人、秘密組織の陰謀といった予想外の設定を導入することで、読者を驚かせる展開を作ることができると考えます。

 

これは驚きの展開だが、まだ設定が具体的ではない。そこをもっと詰めるように頼んでみた。すると、このような設定を考えてくれた。

 

ご指摘の通り、設定には不明確な点がありました。謎の生物について以下のように設定することを提案します。

謎の生物は、宇宙人が地球原産の生物を改造して作ったクローン生命体である。

時間跳躍能力は、宇宙人の技術でManipulator(マニピュレーター)と呼ばれる特殊な器官を移植されたことによる。

早紀は謎の生物に寄生され、操られている。本来の早紀の意思ではない。

学園の裏にある秘密組織「ギルド」は、宇宙人と接触しており、生物兵器の開発で牽制している。

宇宙人はギルドを利用して地球侵略を目論んでいるが、ギルドもまた宇宙人を騙して独自の目的を遂行しようとしている。

このように設定を明確化することで、ストーリーの整合性を保ちつつ、予想外の展開を提供できると考えます。ご意見いただければ幸いです。

 

「ギルド」と「宇宙人」の設定ですが、以下のように具体的に考えてみました。

【ギルド】

地球の富豪達で構成された秘密結社。表向きは財閥を形成している。

人類改良を目的としており、宇宙人のクローン技術を利用して超人兵士を作ろうと画策。

指導者はギルドの総帥であるレキシントン。冷酷な人物で、自らもサイボーグ化している。

兵士の制御には洗脳とドラッグを駆使。 orders(命令)に絶対服従させる。

【宇宙人】

地球侵略を企む異星人。体は半透明のクラゲ状で、劣化ウラニウムを力源にしている。

高度な科学力を持ち、タイムトラベルやクローン技術を駆使。情報解析能力も高い。

侵略の拠点は木星軌道上のマザーシップ。指導者は冷徹なファースター。

地球の生物を改造して兵器にしている。宇宙人自身の戦闘能力は低い。

このように、双方とも人類を道具として扱う怪しげな集団として設定することで、読者の戦うべき敵としての印象が強まるのではないかと考えました。

 

面白い設定だ。多少古めかしいSFである印象はあるが、これくらい振り切ったほうがエンタメとして優秀なのかもしれない。

最後に、絶対にヒットする『大進化どうぶつデスゲーム』のプロットを作らせてみた。

 

わかりました。それでは『大進化どうぶつデスゲーム』の全体の構成を以下のように提案いたします。

 

【導入部】

平和な日常を送る女子高生・ミカと親友の早紀を中心に、学園生活を描写。
二人の仲良しぶりと、ミカの引っ込み思案な性格を描く。


【展開部】

学園に謎のクローン生命体が現れる。パニックに陥る学園で、ミカと早紀は生徒を誘導して避難を手伝う。
クローンの正体を探るミカたち。早紀が寄生されていることが発覚。
早紀を取り戻すため、ミカたちはギルドと対決。時空を超えて戦う。


【クライマックス】

時空転移で白亜紀に到達。早紀のマニピュレーターを破壊し、本来の早紀を取り戻す。
母船で宇宙人と対決。地球侵略を阻止。


【結末】

学園に平和が戻り、ミカと早紀の絆がより強固なものとなる。
二人が世界の平和のために力を合わせることを誓う。

以上のような構成で、アクションと人間ドラマをバランスよく描写し、読者を納得させられる作品になるのではないかと考えています。ご意見をいただければ幸いです。