水槽脳の栓を抜け

SF作家 草野原々のブログ

論文要旨 フレーゲ「意義と意味について」③

 

フレーゲ著作集〈4〉哲学論集

フレーゲ著作集〈4〉哲学論集

 

 

 

承前

 

真偽と命題の関係は意味と意義の関係ではなく、述語と主語の関係であると主張する人がいるかもしれない。

例えば「5が素数であるという命題は真である」と述べることができる。(「真である」が述語となっている)

しかしこの文は「5は素数である」という命題以上のことを述べていない。

命題と真偽はレベルの異なるもの(意義のレベルと意味のレベル)であり、主語と述語の関係にはない。主語と述語は命題の構成要素である。

主語と述語を結ぶことにより、命題が誕生する。

 

もし、文の意味が真理値だという想定が正しいならば、文中の表現を、別の意義を持つが同じ意味のままのものに差し替えても、文の真偽は変化しないはずだ。(そしてそれは正しい)。

 

文の意味が真理値だということになれば、文の意味は真か偽かの二種類に限られる。

文が我々に知識を与えてくれるのは、文の意味(真偽)のみがあるからでなく、また命題のみがあるからでもない。意味と命題がセットになっているからだ

判断をするということは命題(意義)のレベルから真偽(意味)のレベルへと踏み出すことだ。

(続く)