- 作者: G.フレーゲ,黒田亘,野本和幸,Gottlob Frege
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 1999/09
- メディア: 単行本
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(承前)
真偽と命題の関係は意味と意義の関係ではなく、述語と主語の関係であると主張する人がいるかもしれない。
例えば「5が素数であるという命題は真である」と述べることができる。(「真である」が述語となっている)
しかしこの文は「5は素数である」という命題以上のことを述べていない。
命題と真偽はレベルの異なるもの(意義のレベルと意味のレベル)であり、主語と述語の関係にはない。主語と述語は命題の構成要素である。
主語と述語を結ぶことにより、命題が誕生する。
もし、文の意味が真理値だという想定が正しいならば、文中の表現を、別の意義を持つが同じ意味のままのものに差し替えても、文の真偽は変化しないはずだ。(そしてそれは正しい)。
文の意味が真理値だということになれば、文の意味は真か偽かの二種類に限られる。
文が我々に知識を与えてくれるのは、文の意味(真偽)のみがあるからでなく、また命題のみがあるからでもない。意味と命題がセットになっているからだ
判断をするということは命題(意義)のレベルから真偽(意味)のレベルへと踏み出すことだ。
(続く)