理由の哲学 メモ①
参考文献
行為の因果説:行為と理由は行為の原因に他ならない(デイヴィッドソン)。
行為の理由となる信念・欲求の組があったとしても、他の組との差異がなければならないそれが因果関係となる。
心理主義:行為の理由を行為者の何らかの心的状態とする。
作用-対象の二義性(act-object ambiguity):理由に言及したとしても、それが私の心的な事柄か、外的な対象か曖昧である。
反心理主義:行為の理由は行為者の心的態度ではなく、その対象である(ダンシー)
因果説は心理主義を前提とする:心的態度を物理的因果として解釈する。
命題:真であったり偽であったりするもの。
事態:成立したり不成立したりするもの。命題を真とするtruth-makerとなる。
理由を命題とすると、理由-行為の因果関係を想定するのは難しい:命題は因果関係と考えにくいので
理由を事態とすると、通常の出来事因果とは別の事実因果を認めなくてはいけない
失敗例論法:心理主義を支持する議論。理由は現実的なものでなくてはならない、また、行為が失敗したときにも成功したときと同じような理由はなければならない。そうすると、心的な状態が理由となる。
たとえば、ゴキブリをつぶすとき「ゴキブリがいるから」という理由は心的状態となる。
説明理由:行為をある仕方で説明するときの理由
規範理由:「するべきである」という面からの行為の理由。道徳的側面のみではない。行為を実際に良いものにするという客観的面からの正当化。
理由一元論:ある行為の説明理由は、規範理由でありうるものでなければならない。
心的状態は行為の規範理由になりえないのでこの立場は反心理主義。
理由二元論:説明理由と規範理由は別のものである(説明は心的態度、規範はその対象により与えられる)。この立場は心理主義。
心理主義の問題点:「pと思うから」という心理的説明は信念態度にコミットしているが、pの存在についてはコミットしていない。しかし、普通はコミットしているだろ。
反心理主義の問題点:成功例と失敗例の理由が別種のものになってしまう。(失敗例の理由は心的態度ということになる)。これはおかしい(薬草を取りに行くため山に行く少年の理由は、薬草があるかないかで変わることになる)
反心理主義からの反論:失敗例のときの理由を非現実的なものにすることにより、成功例と同種の理由にする。(ゴキブリがいなかったとしても「ゴキブリがいると思ったからつぶそうとした」の理由は「ゴキブリがいるから」である)